目次
はじめに
2017年は、周知の通り米国株市場全体が堅調の年です。
直近1年間で、S&P500指数は+18.46%上昇(※)しており、まさに絶好調の様相を呈しています。
一方で、GE(ゼネラル・エレクトリック)は-41.96%(※)と大暴落。
また、ディフェンシブ銘柄を中心に、この1年間で大幅に売られ、市場平均をアンダーパフォームしている不人気銘柄もいくつか目立ちます。
そして、こういう時こそ、暴落にも強いディフェンシブ優良銘柄の買い増しを積極的に検討したい所です。
そこで本記事では、直近1年間で下落中の不人気優良株を10銘柄ピックアップし、長期チャートで一気に比較・考察してみます。
(※2017月11月15日集計。出典はYahoo!ファイナンス(英語版)。)
不人気優良米国株10種概要
GE(ゼネラル・エレクトリック)・・・米国最大級のコングロマリット(複合企業体)。航空・ヘルスケア・電力などが主力事業。高収益事業重視で選択と集中を進める。
T(AT&T)・・・世界最大級の通信事業会社。15年に衛生放送最大手のディレクTVを買収、16年にネット配信の「DIRECTV NOW」を開始。
VZ(ベライゾン)・・・通信事業会社。AT&Tと2強。15年にネット大手のAOLを買収、次世代の5G技術で先陣を切る。
MRK(メルク)・・・世界有数の製薬会社。循環器系疾患、糖尿病、メタボリック、肝炎、感染症、がん等の分野で医薬品・ワクチンを販売。
KMB(キンバリー・クラーク)・・・大手日用品メーカー。ティッシュの「クリネックス」が有名。世界80ヶ国でシェア1位または2位。売上構成は北米が5割、アジア・中南米が4割。
CVS(CVSヘルス)・・・米国最大のドラッグストア。医薬品販売と、PBM(薬剤給付管理)や処方箋医薬品給付プランを提供する医療サービスの二本柱。
IBM(IBM)・・・IT関連サービス大手。現在はクラウド、アナリティクス、モバイル、ソーシャル、セキュリティに戦略転換。人工知能Watsonの今後の活躍に期待。
PM(フィリップ・モリス)・・・世界最大級のたばこ会社。2008年、アルトリアから米国外事業が分離。32ヶ国で48の生産施設を運営。「マルボロ」「iQOS」など有名ブランド多数。
MO(アルトリア・グループ)・・・米国内トップのたばこ会社。2007年、クラフトフーズを分離。「Lark」、葉巻の「Black&Mild」が有名。ワインも展開。
GIS(ゼネラル・ミルズ)・・・食品メーカー大手。シリアル食品、スナック、冷凍食品など製造。「ハーゲンダッツ」「ベティ・クロッカー」が有名。直近ではヨーグルト事業で苦戦。
不人気米国株比較チャート
※出典はYahoo Finance(英語版)。
※画像が小さくて見辛い場合、クリックで拡大できます。
※チャートには配当(再投資)は加味されていません。
全期間

まずは全期間(1989年以降)のチャートです。
パフォーマンスのトップ1位はGIS(ゼネラル・ミルズ)で約910%、ワースト1位はVZ(ベライゾン)で約177%。
GEは直近1年で暴落したものの、長期で見るとVZ、Tよりも依然としてパフォーマンスは高い(※)です。(※配当再投資は考慮外。)
また、1981年から2001年にかけて、GEの最高経営責任者に就任したジャック・ウェルチ氏の経営手腕も、こうして見るといかに凄まじいものであったかが感じ取れますね。
たった一人のカリスマ経営者の存在が、マーケットの総意を巻き込み、これほどの暴騰と暴落を形成するとは驚嘆に値します。
なんだか、こうして長い時間軸で客観視すると、直近1年の「-41.96%」という下落幅も実は大した事がないかのように感じてしまうのが不思議です。
もしあなたが現在、GEの一時的な含み損に苦しんでいる場合、精神安定剤としてこのチャートを眺めてみる、という手もありかも知れません。(著者もETFを通じてGEを一部保有しています。)
今後、長期的にはGEの業績も改善していく見込みがある訳ですしね。
直近5年間

直近5年です。
パフォーマンスのトップ1位はMO(アルトリア・グループ)で約96%、ワースト1位はIBMで約-23%。
この期間で見ると、ヘルスケア期待の高まりも含め、CVSが2016年前半まで大幅に市場平均をアウトパフォームしてきました。
アマゾンの脅威により、直近ではボコボコに売られていますが、こうして見ると買い時としては悪くなさそう(※)です。(※投資判断は自己責任にて。)
アルトリアも2017年前半まで絶好調でしたが、FDA規制要因により急落しました。
直近2年間

直近2年です。
パフォーマンスのトップ1位はS&P500指数(市場平均)で約23%、ワースト1位はGEで約-42%。
この期間からは、今回ピックアップした10銘柄の全てが市場平均をアンダーパフォームしています。
直近1年間
パフォーマンスのトップ1位はS&P500指数(市場平均)で約18%、ワースト1位はGEで約-42%。
ここ数ヶ月の急落の直前まで、PM(フィリップモリス)が好調であった事が伺えます。
また、GIS(ゼネラル・ミルズ)が直近で反発していますが、ここから堅調に持ち直すのか、あるいはまた軟調に戻るのかが気になる所です。
まとめ
まとめておきます。
・長期(1989年以降)で見ると、1位はGIS(ゼネラル・ミルズ)で約910%、ワースト1位はVZ(ベライゾン)で約177%。
・直近5年では、1位はMO(アルトリア・グループ)で約96%、ワースト1位はIBMで約-23%。
・直近2年では、1位はS&P500指数(市場平均)で約23%、ワースト1位はGEで約-42%。
・直近1年では、1位はS&P500指数(市場平均)で約18%、ワースト1位はGEで約-42%。
なお、配当再投資を前提とした投資パフォーマンスを表すランキング(チャート)ではない、という点にはご留意下さい。
おまけ~直近1年下落率TOP5比較チャート~
おまけで、直近1年の下落率TOP5銘柄と、そこに絞った比較チャートも掲載しておきます。
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